2017年09月30日
職場体験の受け入れを行いました
みなさん こんにちは! 学芸員のセキヤです!
スタッフブログ「学芸員の小窓」をご覧いただき、誠にありがとうございます!
栄えある第一回目を担当させて頂くことになりましたので、ご清聴、よろしくお願いいたします。
さて、去る9月4日から9月8日までの5日間、瑞穂中学校の生徒さんが当館で職場体験を行いました。
これは、実際に働く人々の知識や技術に触れ、そのことによって学ぶことの意義を理解したり、自分の意思で進路を選び、決定する態度や意欲などを培うための取組で、町内の2つの中学校で行われてます。
毎年、当館を体験の場のひとつとして選んで頂いています。
今回も喜んで受入れをさせて頂き、全職員で温かく対応させて頂きました。
今回体験を行ったのは、3名の生徒さんです。
初めにけやき館や瑞穂町の概要について学び、そのあとで資料の調査や整理、企画展の準備や片付け、来館者に対する接遇など、様々なメニューを体験しました。
ここでは、私が担当した2日目のひとこまをご紹介いたします。
この日の午後は、考古資料の整理作業です。
瑞穂町には旧石器時代や縄文時代などの遺跡が数多くあり、様々な遺物がたくさん出土していますが、この日は、館が収蔵している未整理の土器や石器の洗浄作業を行いました。
遺物の中には非常にもろいものもあるため、洗浄の際には特に注意が必要です。
初めて経験する生徒たちは、最初は戸惑った様子でしたが、ブラシを上手に使いながら、丁寧に作業をしていました。
土器は煮炊きや貯蔵のほかに、亡くなった人を埋葬する際に使用されたりもしたことや、また、時には土器の表面に縄文人の指紋が残っていたりすることなどを伝えると、みな洗う手を止め、驚いた様子で小さな土器の破片をじっと見つめていました。
数千年も前の人間が作ったものが、今、自分の手のひらにあるのですから、きっといろんな感情がよぎったに違いありません。(生徒のみなさん、そのドキドキを絶対忘れないでね!)
洗浄が終わったら、今度は土器の記録です。今回はスケッチに挑戦してもらいました。方眼紙の上に土器の破片を置き、鉛筆で文様を写していきます。
土器にはひもや木の棒、細い竹などを使って様々な文様が描かれていますが、この作業を行うと、それまでは気が付かなかったいろいろな“顔”を発見することができます。
生徒たちの手元を覗き込むと・・・うまい、うまい! それぞれの土器の特徴をとても上手に表現できています!
これまでよりググッと「縄文人の世界」に近づいたんじゃないかな?
最後に、黒曜石を“体験”しました。
黒曜石は火山岩の一種で、関東地域では、長野県の和田峠や神奈川県の箱根などで産出されます。
ガラスのような性質をもっていることから、旧石器時代や縄文時代に槍先や矢じりなどの材料として使われました。瑞穂町の遺跡からも数多く発見されています。
生徒たちは、この石材のサンプルを使ってその切れ味を体験しました。
破片の先端を新聞紙にあてて引くと、力を入れなくてもスパスパと簡単に切れ、みな、「オーッ!スゴーイ!」と驚きの声!
初めての体験に、目を丸くしていました。まだ金属の刃物が無かった太古の人々にとって、まさに“夢の石材”であったことを、きっと実感したことでしょう。
体験最後の日、生徒さんたちとお別れの挨拶を交わしましたが、「普段、表から見えないところでいろんな仕事があることを、この体験で初めて知りました。」と口々に述べていました。
この職場体験は、中学生にとって様々なことを学び、身につける大切な取組ですが、私たち学芸員にとっても、とても大切な機会なんです。
博物館には専門的な作業を行うための学芸員が必要ですが、若い世代の方々が学芸員の仕事に触れ、興味を持ってもらうことは、将来の学芸員の育成にとって大変重要なことです。
この職場体験がきっかけで学芸員を目指すことにした、なんていう生徒さんが現れれば、こんな素晴らしいことはありません。
生徒さんたちは、5日間を通して大変真剣に取り組まれていて、礼儀やマナーもとてもすばらしく、来館者にとても良い印象を与えていました。
短期間でしたが、この職場体験によって町の魅力を再発見したのではないでしょうか。
この経験によって、自分たちの郷土を愛する心、誇りに思う心がもっともっと深く、大きくなれば!!と、職員一同、心から願っています。
今回は、中学生の職場体験のひとこまを紹介しました。
体験をした生徒さん、お疲れ様。今度はお友達と一緒に、気楽な気持ちで遊びに来てくださいね。
お待ちしていま~す!