2021年06月10日
舘野氏 来たる! ブログで紹介~「身近な昆虫、ここが面白い」(番外編)
みなさん、こんにちは。
梅雨はどこかへ行ってしまったかのような暑い日が続いていますが、いかがお過ごしですか。
今回の昆虫展ブログは、番外編 ~「舘野氏 来たる!」です
この企画展では、パネルや昆虫標本の他に、絵本作家で生物画家の舘野鴻さんからお借りした原画12枚を展示しています。舘野さんとけやき館の出会いは、今年の二月でした。隣の羽村市で開催されていた展覧会にアポなしの飛び込みで訪れ、初対面ながらその場で、ひと月半後に迫っていた昆虫展への原画借用を申し出たのでした。今振り返ると、大変にぶしつけで恐れ多いことをしたものだと思います。
しかし、見知らぬ者からの唐突なお願いにもかかわらず、舘野さんはその場で即決し快諾してくださいました。今から思えば、何かのご縁があったのだと思います。
そんな舘野さんが、6月8日、けやき館に来てくださいました \(^o^)/
展示してある原画には、一枚ずつキャプションが付いています。その内容は、単なる解説にとどまらず、細部にわたる絵の見方、背景に描かれた動植物の意味、大げさな言い方になるかもしれませんが、一枚の絵が表現する生き物たちの生き様や世界観を説明しています。
このキャプションをご覧になった舘野さんは、「ここまで解って書いてくれて嬉しいです」と仰ってくださいました。
キャプションを書いた担当学芸員が、舘野ワールドの醍醐味と尽きることのない昆虫愛を紹介していますので、その空気を少しでも感じ取って頂きたいと思い、キャプションの一例を以下に掲載します。
絵本『つちはんみょう』より ~ チョウの脚にしがみつく
「イチモンジチョウの脚には、2匹のツチハンミョウの幼虫がしがみついています。孵化からまだ時間が経過していないので、1~2日は問題ありませんが、このままヒメハナバチに出会えなければ、彼らの命は潰えてしまいます。孵化からヒメハナバチの巣に侵入するまで、彼らに与えられた時間は4日。どのような経路を辿ろうと、彼らが生き残る術はヒメハナバチの巣に入り込む以外ありません。この絵ではツチハンミョウの幼虫本体をごく小さく描き、人の視覚に近いスケールでツチハンミョウの生き様を表現しています。一見すると、この絵はこのサンショウクイという鳥がイチモンジチョウを食べる瞬間が描かれているだけに見えます。しかし、イチモンジチョウの脚にはツチハンミョウの小さな幼虫の姿が描かれており、そこに生死をかけたドラマがあることを表現しています。小さな昆虫の旅は、まだまだ続きます。」
今回もブログで紹介 ~ 企画展「身近な昆虫、ここが面白い!」におつき合いくださり、ありがとうございました。
昆虫展の会期は、7月4日(日)まで延長となりました。これからもみなさんのお越しをお待ちしております。